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5086及び5154合金板は我が国では市場性が乏しいので一般に入手が難しく、5086合金押出形材も未だ本格的な生産段階とはいえない*1。また、5456合金板及び同押出形材はJIS規格が未制定であり、「高速船構造基準」では米国ASTM規格*2に準拠している。6061及び6N01合金は上部構造用が主で、海水と直接接触する可能性のある部位、例えば、船側外板や甲板への使用は後述する耐食性(粒界腐食)の見地から制限を受ける。表3.4はアルミニウム合金小型船舶における各合金の使用例を示す。

表3.4 アルミニウム合金小型船舶における使用材料例

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3.1.3 物理的性質と関連事項
(1)物理的性質
船体構造用アルミニウム合金の物理的性質は表3.5に示す。設計に用いる物理定数は、一般には次のようである。
ヤング率 E:70,000N/mm2
*1 表3.2から分かるように、5083合金の主要添加成分であるMg量は4.0〜4.9%、5086合金のそれは3.5〜4.5%であって重複範囲がある。後者の押出形材がJIS規格に制定されたのは昭和63年である。昭和59年以降、5086合金とはいうもののMg量が5083合金の下限側のMg4.2%程度の押出形材(πセクション)が製造されており、この傾向は現在まで続いている。したがって、標準成分Mg4.0%の5086合金押出形材の本格的生産はこれからということである。ただし、本合金押出形材の機械的性質は溶接継手も含めて後述のように検討されている。なお、板材が採用されたのは、押出形材との関連からであろう。
*2 ASTM規格において、板材はB209M−92a,Standard Specification for Aluminum and Aluminum−Alloy Sheet and Plate[Metric]
押出形材は
B221M−92a,Standard Specification for Aluminum and Aluminum−Alloy Extruded Bars,Rods,Wire,Shapes and Tubes[Metric]が該当する。

 

 

 

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